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「報告」よりも「体験」を共有する政治 〜天野多美子県議へのインタビューで見えてきた、新しい県政報告会のかたち〜

経営コンサルタントという仕事をしていると、「成果とは何か」を考える機会が多くあります。

 

売上が上がった。
利益が改善した。
社員が育った。
新しい事業が生まれた。

 

もちろん、これらは大切な成果です。

 

しかし、その成果を生み出す前段階には、必ず「人の考え方が変わる瞬間」があります。

数字は最後に現れる結果であり、その前には必ず価値観の変化があります。

 

 

今回、アルティスタ「静岡カルチャー放送局」の『ロバのイチ推し!』で、静岡県議会議員・天野多美子さんにお話を伺いながら、私はまさにそのことを考えていました。

 

「県政報告会」という言葉への違和感

今回のテーマは、


「誰かの体験が、誰かの未来になる」〜県政報告会という『学びの場』〜 

でした。

 

県政報告会という言葉を聞くと、多くの人はこう想像するでしょう。

 

「議員が何をやってきたのかを説明する会」

 

もちろん、それは間違いではありません。

 

 議会でどんな質問をしたのか。
 どんな政策が進んでいるのか。
 どんな課題があるのか。

 

政治家が有権者に説明責任を果たす場として、県政報告会は重要です。

 

 

ところが、天野さんの県政報告会は、少し違いました。

 

毎回「主役」はゲストである

今回の配信で印象的だったのは、

 

「私の話を長く聞いてもらうより、生の体験を聞いてもらった方が、次の行動につながると思う。」

 

という天野さんの言葉でした。

 

この一言に、彼女の県政報告会の本質があります。

 

過去の県政報告会では、

 

・シベリア抑留を経験した方
・東日本大震災で避難所運営を経験した学校の先生
・8050問題や発達障害を描く漫画家
・コンテンツ産業の第一線で活躍するクリエイター

 

そして今回は、

 

東日本大震災当日、出産の真っただ中で被災したお母さん。

 

 

毎回、一人ひとりの「人生」がテーマになっています。

 

一次情報は、人を動かす

私は企業支援でも、

 

「一次情報を持ってください」

 

とよくお伝えします。

 

現場へ行く。

顧客に会う。

社員の声を聞く。

 

数字だけでは見えないことがあります。

 

実際に体験した人の言葉には、データでは置き換えられない説得力があります。

 

今回のゲストもまさにそうでした。

 

東日本大震災の日。

出産の最中に大地震が起きる。

 

普通なら想像すらできません。

 

しかし、その人は現実にそれを経験した。

 

その話を直接聞くことで、

「防災」という言葉が、急に自分事になります。

 

防災教育ではなく、「防災体験の共有」

天野さんは、以前、東日本大震災で避難所運営を経験した先生の話を聞いたことで、自身の防災意識が大きく変わったそうです。

これが非常に興味深い。

 

静岡県民は、「南海トラフ地震」という言葉を何十年も聞いてきました。

 

だからこそ、逆に慣れてしまう。

 

「そのうち来る」「まだ来ない」

 

そんな感覚になる。

 

しかし、実際に被災した人の話を聞くと、一気に現実になります。

 

これは教育でも同じです。

 

「勉強しなさい」より、「こんな経験をした」の方が、人は動きます。

 

これは、私がずっと考えてきた「原体験」と重なる

私自身、未来授業や地域での教育活動の中で、「原体験」という言葉を大切にしています。

 

知識は教えられます。

技術も教えられます。

 

しかし、人生を変えるのは、誰かとの出会いだったり、忘れられない経験だったりします。

 

里山留学もそうです。

自然体験もそうです。

仕事体験もそうです。

 

子どもたちが、「やってみた」「会ってみた」「聞いてみた」

 

そういう経験が、将来の選択を変えていきます。

 

天野さんの県政報告会は、大人版の原体験教育なのだと思いました。

 

「報告会」という名前なのに、「対話」が始まる

今回の配信を通して、私はもう一つ面白いことに気付きました。

 

天野さんの県政報告会は、報告会でありながら、実際には「対話の入口」になっています。

 

ゲストの話を聞く。

参加者が考える。

質問する。

自分の経験と重ねる。

 

そして、政治を少し身近に感じる。

 

これは、行政説明会ではありません。

講演会でもありません。

勉強会とも少し違います。

 

 

社会課題を、自分の人生に引き寄せる時間です。

 

「政治」を身近にする方法

私は経営支援をしていますが、経営も政治も、本質は似ています。

 

数字を説明するだけでは、人は動きません。

 

制度を説明するだけでも、人は動きません。

 

人が動くのは、「物語」があるからです。

 

誰かの人生。

誰かの経験。

誰かの挑戦。

 

そこに、共感が生まれる。

 

そして、「自分だったら」と考え始める。

 

天野さんは、政治を語る前に人を語っています。

 

だから、政治が少し近く感じられるのでしょう。

 

経営にも通じる「体験の共有」

企業でも、成功事例を並べるだけでは文化は育ちません。

 

失敗談。

苦労話。

現場で起きたこと。

 

それらを共有することで、組織には知恵が蓄積されます。

 

つまり、組織も社会も、「体験を共有する文化」が成熟度を決める。

 

そう考えると、天野さんの県政報告会は、政治イベントというより、地域全体の「知のアーカイブ」をつくる試みなのかもしれません。

 

「誰かの体験が、誰かの未来になる」

この言葉は、今回の配信タイトルでした。

 

しかし、私は配信を終えたあと、少し違う言葉が浮かびました。

 

「誰かの体験を、自分の未来にできる人は強い。」

 

私たちは、すべてを経験することはできません。

 

だから本を読みます。

だから人の話を聞きます。

だから歴史を学びます。

だから先人に会います。

 

政治も、経営も、教育も、結局は同じなのだと思います。

 

経験を共有し、そこから学び、自分の行動を変える。

 

その積み重ねが、より良い地域をつくり、より良い企業をつくり、より良い社会をつくる。

 

今回の天野多美子県議との対話は、「県政報告会」という枠組みを超え、人はなぜ他者の体験を聞くのか、その体験をどう社会の知恵へと変えていくのかを改めて考えさせられる時間となりました。

 

8月9日の県政報告会は、政治に関心がある人だけの場ではありません。

 

「人の体験から学ぶことの価値」を感じたい方にこそ、足を運んでいただきたい。

 

 

そんな一日になるのではないかと感じています。

 

配信インタビュー(YouTubeアーカイブ)

前半 https://x.gd/ogdBS

後半 https://x.gd/JKBMn